CMセミナー2021 「ラジオCM実践講座」
7月16日、コロナウイルス感染拡大が収まらぬ中、各局のCMクリエイティブに関わる方々が参加して、「CMセミナー」がリモートで開催されました。
「リモートだから参加できた」と言う方も多く、参加者は過去最多の34局50人以上でした。
講師にお迎えしたのは、今回4回目となる電通クリエイターの山本渉(やまもとわたる)さん。
さらに今回は事前課題として、各局からラジオCMコピーを提出して頂き、そのコピーに対して山本氏からブラッシュアップのヒントを授けて頂きました。
著名なクリエイターである山本渉さんから直に教えて頂けた貴重な機会は、参加各局の皆様から大変ご好評を頂きました。
今回は、その模様を簡単に紹介させて頂きます。
【講師:山本渉氏】
株式会社電通 第3クリエーティブプランニング局 クリエイティブディレクター。日本人として初めてとなるカンヌ広告祭ラジオ部門グランプリやACC賞電通賞グランプリ、ACC賞ベストCMプランナー等、ラジオを中心に国内外数々の広告賞を受賞。2008年より電通ラジオ局(現ラジオテレビ局)を兼務し、radikoや番組提案など、放送局とのコラボも推進中。
またNHKドラマ脚本演出、吉本舞台脚本等、広告以外でも活躍中。
●20秒ラジオCM事前課題
A:パイロット「フリクション」
B:ライオン「チャーミ―マジカ酵素プラス」
ラジオCM基礎講座
★音だけのラジオCMには、4つの構成要素があります。
①~③はすぐに思い浮かびますが、④を意識できている人は少ないようです。
①VOICE(言葉)…台詞力/ストーリー力
②SOUND(効果音)…SEモノ/SLを使ったモノ
③MUSIC(音楽)…歌モノ/感情
④SILENCE(間)…間/緊張感
★3つのクオリティーアップ要素
登場人物のキャラクターひとつとっても、性格、職業、性別や年齢などの特徴を付けてみることで、より聴きやすく、目立つCMになります。
①キャラクター…性格/職業/性別/年齢
②テンポ、リズム…会話/構成
③音の工夫…しゃべり方/声質/エフェクト
ラジオCMの発想法
★ラジオCMの発想法には、6つのパターンがあります。
①シチュエーションコメディー
コントやドラマで使われるような、誰もが知っているベタなシチュエーションを使い、〝おやっ?〟と感じるようにひとつをずらしてみせる。
②擬人化
モノや動物などを擬人化。「実は○○でした」という種明かしをはっきりさせることがポイント。
③媒体特性
絵が見えないラジオだからこその企画を追求。
④効果音
台詞やナレーションではなく、商品周りの音を主役にする。
商品自体にSEがあるものは考えやすい。ない場合は、ターゲット周りで探してみる。
⑤ネタ発想
普段、自分が面白いと思っている小ネタを商品に関連させる。
⑥ミスリードさせて落とす
あえてリスナーをミスリード(誤解)させてから、オチをつける。
キレのある作品になるかどうかは、落ちた時の落差で決まる。
オチから考えて逆算する。
企画フィードバック
各局から事前提出のCMコピーについて、6パターンの発想法と重ね合わせながら、気になる事、こうしたら良くなる…など丁寧にアドバイス。
またCMコピーと同時に受け付けた、山本渉さんへの質問にもお応え頂きました。
その中でいくつかポイントを纏めておきます。
・ラジオCMは「引き算」
削っても伝わるものは、短くする。周りをシンプルにすれば、コアな部分が浮かび上がってくる
・ナレーションはすっきりと。
・共感+笑いをひとつにして強さを作る。
・ラジオCMは歌ものは強い。(商品特長を入れる)
・商品周りの言葉を書き出す。(機能、使っている人など)
・ひっかかりを作る。(笑える、共感、驚き など)
・台詞をどう言うのか?(加工するのか、節をつけるのか)
・ストーリーを作るときに、意外な展開が入ると面白い。
【検証の仕方】
iPhoneなどのレコーダーに録音して、客観的に聞いてみましょう。
すると〝音〟としてどう聞こえるかがわかり、ブラッシュアップできるポイントが見つかります。
そして最後に…
「ラジオCMは、自由に発想できる。宇宙でも海外でも予算をかけずに企画できる。その自由さを活かして、考えてみてください。」
ラジオCMを知り尽くした山本渉さん。企画を考える時、あらゆる言葉を書き出し、細かく、深く検証していく。この「粘り」こそが大切だと教えて下さいました。長年培ってきたメソッドを惜しげもなく伝授して頂き、本当にありがとうございました。