第26回 総務責任者会議
2022年12月7日(水)開催
テーマ:【第一部】インボイス制度の最新動向と留意点
【第二部】各局の取り組み状況(情報交換)
講師:伊藤聖氏
税理士法人おしうみ総合会計事務所 社員税理士
【インボイス制度とは?】
インボイス制度(正式名称=適格請求書等保存方式)とは2023年10月から施行される消費税の仕入税額控除に関する新しい制度のこと。
この施行により、請求書や領収書の様式が変更になります。
「適格請求書等発行事業者の登録」は、事前に税務署へ登録申請し、登録番号の通知を受け、2023年10月1日から「適格請求書交付」が交付できます。(2023年3月31日までの登録申請を推奨)
【第一部】インボイス制度の最新動向と留意点
■インボイス方式への移行に伴う影響
- ① 仕入れ税額控除を行うためには「適格請求書の保存」が必要
- ② 「適格請求書」等を交付できるのは、「適格請求書等発行事業者」として登録された〝課税事業者〟に限られる。
- ③ 〝免税事業者〟は(取引先に依っては)取引の見直しがされる可能性がある。
- ④ 免税事業者からの課税仕入れ(外注先)が多い場合は、コストアップとなる。
■インボイスの種類
※下記①~④は、書類の保存を要件に、仕入れ額控除が可能となります。
- ① 適正請求書には、基本的な内容に加えて「適格請求書等発行事業者」の<氏名または屋号>、<登録番号>、<適応税率>を記載する。
- ② 適格簡易請求書
適格請求書に代えて〝適格簡易請求書〟を交付する業種もある。
(小売業、飲食店業、タクシー業、写真業、時間貸駐車場業、旅行業など) - ③ 仕入明細書、仕入計算書
適格請求書の記載事項があり、取引相手の確認を受けたもの - ④ 媒介または取次に係る業務を行う者が作成する書類
(生鮮食品の卸売業者、生産者などから委託販売の農業・漁業・林業などの組合)
■インボイスの記載
- 「登録番号」は、基本「本名」で登録される。
屋号やペンネーム、芸名などの場合でも電話番号などを記載するなどして、請求書交付事業者を特定できるのであれば問題ない。 - 契約書などの取り交わしで、毎月請求書を受け取らない場合であっても複数の書類などでその取引の内容を正確にわかるのであれば、それに依って「適格請求書」の記載事項を満たすと考える。 (一つの書類のみに、全ての記載事項を纏めなくても良い)
■立替え払いに係る保存の特例
立替清算の基になった請求書を添付する
■口座振替・口座振込による支払
「仕入税額控除」を受けるためには、原則として「適格請求書の保存」が必要となる。契約書に税抜金額のみしか記載されていない場合は、消費税額、税率を記載した通知書での対応が必要になる。
■帳簿の保存のみでインボイスの発行が免除される場合
- ① 30,000円未満の公共交通機関代金
- ② 入場券など、回収される場合の代金
- ③ 30,000円未満の自動販売機、無人販売などに依る商品購入代金
- ④ 郵便切手・貨物サービス代金
- ⑤ 出張旅費(旅費、宿泊、日当など)
※他に、古物業、宅地建物取引用など専門業者ごとの取り決めあり)
■クレジットカード明細のみでは1円でも仕入れ税額控除を行えない。
■高速道路利用料について
今後「ETC利用紹介サービス」で簡易インボイスの発行を予定している。 現状では、クレジットカードの「利用明細書」を保存。
■免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除について
インボイス制度導入後3年間は仕入税額相当額の8割は認める。2026年から3年間は5割。以降はゼロになる予定。
帳簿には「経過措置の摘用」などの課税仕入れである旨の記載が必要。 また、これらの免税事業者は登録番号がなくても問題ない。
■課税事業者にとっての課題
- ① 適格請求書等発行事業者の申請→登録番号の取得
- ② 請求書等の「適格請求書」チェック体制と自社の請求者などへの記載項目のチェック。
- ③ 免税事業者からの仕入れについての対応検討。
(そのまま受け入れ、売価引き上げ、他コスト削減など簡易課税制度の適用を含め)
■コストアップ対応では以下のようなケースが問題視されるが、基本的には「一方的に通告する」のは良くない。「双方の合意」が必須。
- 取引対価の値引き
- 商品などの受領拒否、返品
- 協賛金などの負担要請
- 購入、利用強制
- 取引の停止
- 登録業者となるよう勧める
【参考】問題となる場合に適用される法律
独占禁止法/下請法違反/建築業法違反
伊藤税理士による講演の後、【第二部】では、各局におけるインボイス制度の取組状況について情報交換を行い、FM栃木、FM岡山、FM北海道、TOKYO FMなどが自社の状況を報告しました。