<受賞作品一覧>
(CM部門)
●大賞
TOKYO FM 「守ろう地球環境『恵美子と浩一の往復書簡』((株)エフエム東京/60秒)
●第1部門 ※20秒以内(エントリー数=43本)
最優秀賞
FM熊本 「ノーキャディ・システムのゴルフ場」(見上カントリークラブ/20秒)
●第2部門 ※21秒以上(エントリー数=31本)
最優秀賞
fm osaka 「光のルネサンス」(大阪市市長室・広報課/95秒)
●統一部門
※ JA共済賞〜20秒の部(エントリー数=39本) 
TOKYO FM 「ANZEN グランプリ」
※ JA共済賞〜時報の部(エントリー数=38本) 
FM岡山 「歩行者・スピード・車間距離」
●地域ブロック賞
<北海道・東北>
AIRーG’ 「道産のニュース さんまとさけ」(北海道新聞社/30秒)
<関東・甲信越・静岡>
FM新潟 「お笑いネタ Bタイプ」(クルマのアラシ/10秒)
<中部・北陸>
FMとやま 「のまんまいけ」(日本海酒販/20秒)
<近畿・中国・四国>
hiroshima-fm 「アウディ観音 日本語教室」(ヤナセアウディ販売(株)アウディ観音/20秒)
<九州・沖縄>
FM鹿児島 「店主の呟き〜2時間もたない〜」(バー魔の巣/60秒)
●出演者賞
FM青森 「カーナビ」(JA共済(統一部門作)/20秒)
●コピー賞
fm osaka 「スピード・歩行者・車間距離」
●制作者審査員賞
TOKYO FM 「守ろう地球環境『恵美子と浩一の往復書簡』((株)エフエム東京/60秒)
●審査員特別賞
FM愛媛 「念ずれば…」(JA共済(統一部門作)/20秒)
(企画部門)
●大賞
JFNC 「やまだひさしのラジアンリミテッドDX〜ポカリスエット☆ザ・学校キャラバン」
●優秀賞
hiroshima-fm 「サントリー「新しくなったモルツ」販売促進企画〜3ヶ月のラジオPR作戦で、商品売り上げが1位に!」
FM沖縄 「もうひとつの涙そうそう」
●奨励賞
FM秋田 「エフエム秋田ハンドブックシリーズ ―深い知見の万華鏡ー 1〜5」
FM福井 「地域安全活動プログラム キッズ用防犯ブザープレゼントキャンペーン」
fm osaka 「琉球フェスティバル2004」
●特別賞
FM北海道 「APSデータチェックソフトの自社開発」
FM新潟 「新潟県中越地震への全社をあげた対応〜災害放送・パパラビジョン・復興イベント・特別番組・Vライブ〜」

毎年7月の恒例イベントとなっているJFN賞。今年は今までにない秀作が揃い、接戦となった。
テーマや制作ポイントを熟慮したCMが目立ち、今後のCM制作に明るい光を投げかけた。

JFN賞選考委員会
冨木田委員長
JFN 後藤会長 左から特別審査委員長 天野祐吉氏、特別審査委員 小野田隆雄氏、
特別審査委員 弘兼憲史氏、全国共済農業協同組合連合会(JA共済)服部氏




JFN(全国FM放送協議会)は放送活動並びに新規事業の活性化と質的向上を目指すとともに、JFNの媒体力、社会的影響力アップに貢献し、加盟各社の交流とグループ全体の向上発展を目的としてJFN賞を設けている。
 加盟38局が制作した優秀CMを表彰する「JFN CMコンクール」は、1987年から開催し、回を増すごとに内容も充実してきているが、97年からは同コンクールを「JFN賞」に統合、「CM部門」として、放送活動や事業・営業活動を表彰する「企画部門」とあわせて表彰している。今年の参加各局のCMには優れた作品が多く、甲乙付けがたい状況で審査員諸氏も選考に苦慮した。7月21日(木)午前中に行われた各局及び審査員による採点結果に基づき、午後からは特別審査員の天野祐吉氏(コラムニスト)・小野田隆雄氏(コピーライター)・弘兼憲史氏(漫画家)により入選作品結果の発表・講評が行われた。栄えあるJFN CM部門大賞にはTOKYO FMの「守ろう地球環境『恵美子と浩一の往復書簡』」(エフエム東京/60秒)が選出された。年を重ねながらかわされる男女の往復書簡を通して、変わりゆく地球環境の深刻さを彷彿とさせる手法で、聴く人にインパクトを与え、改めて環境保全の大切さを遡及した作品であった。
 第1部門(20秒以内)では、上位作品の完成度が高く拮抗しており、「芸術的」(弘兼氏)、「同業者として脱帽」(小野田氏)といった評もあり、レベルの高さをうかがわせた。接戦の結果、最優秀賞には「ノーキャディ・システムのゴルフ場」(FM熊本)が選ばれた。第2部門(21秒以上)では、時代のテーマともなっている環境問題を題材にした作品が注目を集め、最優秀賞には「光のルネサンス」(fm osaka)が選ばれた。
 統一部門は、全国共済農業協同組合連合会(JA共済)にご協賛いただき、20秒の部には39本、時報の部には38本のエントリーがあった。JA共済賞・時報の部は、FM岡山の「歩行者・スピード・車間距離」が獲得、あまりラジオには使われない鼓の「よーっ、ポン」というリズミカルな音が印象に残った作品で、「上位4作品に共通しているのは、単純化していること、短い時間でストレートトークになっている点がいい」とスポンサー側から感想が寄せられた。
 奨励賞・地域ブロック賞では、方言や地域の特徴を盛り込んだ作品もあり、思わず笑ってしまうような場面も見られた。北海道・東北はAIRーG’の「道産のニュース さんまとさけ」、関東・甲信越・静岡はFM新潟の「お笑いネタ Bタイプ」、中部・北陸がFMとやまの「のまんまいけ」、近畿・中国・四国がhiroshimaーfmの「アウディ観音」、九州・沖縄はFM鹿児島の「店主の呟き〜2時間もたない〜」にそれぞれ決まった。地域ブロック賞のCMには、「小さなバーとか横町の八百屋さんなどのCMが入ったら面白いかもしれない」(天野氏)という感想など、今後のCM制作に活かしたいアドバイスもあった。
 出演者賞は、FM青森の「カーナビ」(JA共済(統一部門作/20秒)が獲得、地元で外部スタッフとして協力しているユニークな男性のナレーションが、少々しつこいながらもユーモラスな雰囲気を醸し出していた。コピー賞は、fm osakaの「スピード・歩行者・車間距離」(JA共済(統一部門作/時報)が獲得した。制作者審査員賞は、大賞とダブル受賞のTOKYO FMの「守ろう地球環境『恵美子と浩一の往復書簡』」(60秒)が選ばれた。
 また今回、CM作品として優れたものであれば、スポンサーの意向通りではない野心的な作品に対して門戸を閉ざしては良くないのでは、との発言が天野氏からあり、審査員特別賞が設けられた。この賞には、FM愛媛の「念ずれば」(JA共済(統一部門作/20秒)が選ばれた。天野氏は「スポンサーが喜ばないCMは、新たなCMの突破口になる。自分側も相手側も傷つけ、お互いが傷つけ合うことにより説得力が出てくる」と今後のCM制作に向けて提言した。
CM部門大賞
TOKYO FM
JA共済賞〜20秒の部
TOKYO FM
JA共済賞〜時報の部
FM岡山
審査員特別賞
FM愛媛
企画部門大賞
JFNC




夕刻からは会場をTOKYO FMホールに移し、CM部門、企画部門各賞の表彰が行われた。
 授賞式開催にあたって、はじめに後藤亘JFN会長から「世の中では今、テレビのデジタル放送開始なども含め、デジタル関係でも色々な問題が起こっています。今、放送業界は激動の時代に入っていますが、我々の最後の仕事はやはり内容、コンテンツの勝負だと考えています。我々が今やるべきことは、知恵を出して、色々なアイディアで、いい内容のコマーシャル、いい内容の企画を作っていくことだと思います。どんなにデジタルになろうがその手法は変わらないと思いますので、それを踏まえて、頑張っていかねばならないと思っています」と挨拶を述べた。
 続いてCM部門、企画部門各賞の表彰が行われ、受賞した各局の代表者が賞状とトロフィーを受け取った。統一部門のスポンサーである全国共済農業協同組合連合会(JA共済)の服部氏は、「各局さまから素晴らしいCM案をいただいたことに改めてお礼申し上げます。JA共済では7月から9月に全国的に交通安全運動を実施しております。本日JA共済賞を授賞されたTOKYO FM、FM岡山、FM愛媛さんのラジオCM案が、JA共済連の交通安全運動をより一層盛り上げていくことと確信しています」と感想を述べた。
 また、審査に当たった特別審査員の3氏より講評と感想が述べられた。はじめに漫画家の弘兼憲史氏が、「私は色々な賞の審査をしているのですが、すんなり決まる時と非常に苦しんで決まる時とがあります。今回は後者の方で、例年になくいい作品が集まり、落としたくない作品も落とさなくてはいけない状況だった。賞というのは運、不運があり、非常に良くできたのに賞が貰えない、というのが今年でした。ラジオCM、新聞広告、テレビCMもそうなのですが、CMの時はトイレに行ったり、あまり聴かない、見ないものだ、ということを念頭におき、製品の特徴や効能をあまり盛りだくさんに詰め込むののではなく、インパクトのあるもの、非日常的なもの、耳慣れないものから入るのが大切ではないかと思います。今回、鼓の音がするコマーシャルが入賞しましたが、普通FMの番組の中で鼓の音が聞こえるものはあまりないと思います。それが一つのインパクトだということです」と感想を語った。続いて壇上に上がったコピーライターの小野田隆雄氏は、「今年は本当にいい作品が多くて、今回はレベルが高かったと思います。つらつら聞いていて二つの言葉を思い出しました。一つは「出る杭は打たれる」ということ。それは広告を作る時に、スポンサーさんから出てくる色々な要求項目を全部受け入れながらどこかで裏切ってやる。少し出しゃばって目立つ行為をすることで、話題性が作れる。反逆児的な気持ちを作る時に持った方が出来上がった時に力が大きいのじゃないかと思います。もう一つは、「気に入らぬ風もあろうに柳かな」という川柳で、柳は自分の気に入らない方角から吹いてくる風にも素直になびく。しかし自分の心までなびかせているわけではない。世の中はそうやっていかなければならない時もあるということですね。ですから僕は企画を考える時は、スポンサーさんの意向を少し無視して、自分の言いたいことを突き詰めていく。その後でスポンサーさんの要求をよく聞いて、妥協できるところは妥協する。あまりバランスを取ることばかり考えないで、どこかにミスがあってもかまわないから、という大様さがあってもいいんじゃないかと思います。今回はそういう作品が非常に多かったようで、頭が疲れました」と述べた。
 審査委員長を務めたコラムニストの天野祐吉氏は、「今年のグランプリが環境保護を取り上げたことは、非常に象徴的だったと思います。20世紀の戦後の日本は、消費大国としてしゃにむに動いてきた。その結果、地球はボロボロになり、汚れっぱなしになってしまった。これ以上汚したら地球上では生きていけなくなってしまう、ということが環境広告が出てきた理由です。つまり環境広告が出てきたということは、もうこの辺でしゃにむに物事を進めるのを止めて、一回地球の大掃除をしながら生活ってどういうことなのか、もう一回考え直してみよう。生活が本当により豊かになっていくためにはどうしたらいいのか、どう地球と共存していけばいいのか、ということを本気に考えなくてはいけない、ということが環境広告やエコ広告の出現の裏側にある問題で、エコとか環境の問題を一時的なルールにしてしまったら何の意味もない。エコや環境広告は単なる入口であって、その向こうにあるのは、20世紀型の消費者の時代から、もっと新しい生活者の時代へということです。
 今回のグランプリの環境広告もそういうことを我々に考えさせてくれました。シャイな大阪人?(笑)が、夫婦で久しぶりに手をつなぎ繁華街を歩くという大阪市のCM「光のルネサンス」も生活の見直しです。このCMの落ち着いた口調は、新しいCMのスタイルを表現していると思います。やたらに騒ぎ立てること、鐘や太鼓でものを買う時代ではなくなったという、一つのシンボリックなものだと思います。そういう意味でCMも大きな曲がり角に立っている。それがこのコンテストの中で、はっきり傾向として出てきたことは素晴らしいことで、みなさんの感性の豊かさの表れだと思います。この方向をどんどん掘り下げ、もっともっと新しい広告が取り上げられるのじゃないか。来年はさらに面白い広告が作られることを期待しております」と感想を締めくくった。
 続いて企画部門の表彰が行われた。今年の申請は加盟29社より57件あった。企画部門は、JFN賞選考委員会の審査を経て、特別賞・奨励賞・優秀賞、そして大賞の各賞が決定した。受賞した各賞は、大賞にはJFNCの「やまだひさしのラジアンリミテッドDX〜ポカリスエット☆ザ・学校キャラバン」が選ばれた。優秀賞はhiroshima-fm、FM沖縄、奨励賞は、FM秋田、FM福井、fm osakaの3社が受賞、特別賞は、FM北海道とFM新潟が選ばれ、それぞれ賞状とトロフィーを授賞し、2005年のJFN賞各賞の授賞式は、とどこおりなく終了した。

JFN賞2004の模様はこちら


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